顔面痙攣・片側顔面痙攣

顔面麻痺の症例集

-症例1 30代女性-
約1年前から、左下瞼がピクピクと痙攣するようになる。痙攣の範囲が徐々に左頬から左口角へと広がる。脳神経外科にてMRI検査を受け、顔面神経の圧迫所見が認められ、片側顔面痙攣と診断される。ボトックス注射で痙攣を抑えるか、手術しか方法はないと告げられる。

【おもな症状は以下の通り。】

・痙攣は左顔全体がピクピクと小刻みに痙攣したり、左外側に左顔面全体が引っ張られる様な痙攣が起こる。
・左天柱部(首の付け根。後頭骨下縁~第2頸椎の高さのコリ。半棘筋、大・小後頭直筋など)から左肩にかけて強いコリと痛みを感じる。
・左頬のこわばり感。
・頚肩のコリ感が強い時は、特に痙攣が起こりやすい。
・入浴時やリラックスしている時には痙攣は出にくい。

治療は1週間に1度の間隔でおこなう。

第1診

天柱、肩甲挙筋、僧帽筋部に圧痛、硬結を認める。

天柱、肩甲挙筋、僧帽筋の硬結部に低周波鍼通電をおこなう。
また、腰痛も訴えていたため、腰部の鍼治療も並行しておこなった。

治療直後は顔のこわばりが取れてすっきりしたとのことだが、痙攣の程度に変化はみられなかった。

第3診

少しずつ頚肩のコリ感が軽減してきて、痙攣回数も多少は減ってきた。

第8診

天柱部を押圧すると、痙攣がぴたりと止まるようになる。天柱部の刺鍼方法を単刺雀啄に切り替える。

第9診

前回治療後に天柱部に2日ほど痛みが残り、痙攣回数も増加したが、痛みが引くと、痙攣回数が10分の1程度まで軽減した。

第14診

天柱の硬結はほぼ消失した。それに伴い痙攣回数もさらに減少したが、消失には至っていない。
頚部の触診にて、肩甲骨内上角と胸鎖乳突筋の鎖骨頭に硬結が認められたため、同部位に低周波鍼通電をおこなう。

第18診

痙攣の回数は徐々に減少している。

第25診

痙攣は消失した。
頸肩がこると再発の可能性があるため、セルフケアの方法を指示し、治療を終了とした。

本症例は、第10診までは比較的順調に痙攣回数の減少がみられた。しかし長時間のPC作業により、胸鎖乳突筋や肩甲挙筋の筋緊張が残存していたため、痙攣消失まで期間を要した例である。


-症例2 40代女性-

1か月半ほど前に左頚を寝違える。その2日後くらいから左下瞼がピクピクと不随意に動くようになる。その数日後から左頬にも痙攣が現れるようになり、左頬の筋肉がこわばるようになってきた。近所の脳神経外科を受診。MRI検査にて顔面神経の圧迫所見が認められ、顔面痙攣と診断された。根治には手術が必要と言われる。

鍼治療は週1回の頻度でおこなった。

おもな症状は以下の通り。

・口をすぼめると、左下瞼と左頬にかすかな痙攣を認める。
・引っ張られるような、大きな痙攣は認められない。
・パソコン業務などで、頚が疲れてくると、痙攣の頻度が増す。
・入浴時は軽減。

第1診

寝違えてから随分時間が経過しているが、左頚部の左回旋可動域は20度程しかなく、それ以上回旋しようとすると、痛くて回らない。また左天柱部(首の付け根。後頭骨下縁~第2頸椎の高さのコリ。半棘筋、大・小後頭直筋など)と、左僧帽筋と肩甲挙筋に顕著な硬結と圧痛を認める。

上記の圧痛点にそれぞれ刺鍼する。
治療後、頚部の可動域に改善がみられ、左右差はほぼ無くなる。

第2診

頚の痛みはほぼ無くなったが、いまだ天柱部のコリ感は強く、特に仕事中などに痙攣が気になる。

第4診

コリ感はだいぶ改善された。痙攣も回数がかなり減少してきたが、午後から夕方にかけて出現する。

第8診

天柱部の硬結はほとんど消失する。口をすぼめても痙攣は出なくなった。これをもって治療を中止した。

本症例のように、まず先に頚部痛が起こり、次いで同側の顔面痙攣が発症した場合は、比較的短期間に緩解する傾向がある。
以前にも、頚部から手指にかけて痛みと痺れを訴えて、整形外科に受診したところ、頸椎ヘルニアの診断を受けて、ほどなくして同側の顔面痙攣を発症した患者を治療する機会があったが、2回の治療で痛みが取れ、それと同時に痙攣症状も緩解した症例を経験したことがある。


-症例3 50代男性-

約2年前から、右の下瞼がピクピクと痙攣するようになり、現在は右側の頬、口角まで痙攣するようになった。脳神経外科を受診、脳幹部で顔面神経が圧迫されていると言われる。

おもな症状は以下のとおり

・右の顔面全体が引っ張られる様な痙攣がおきると、耳の中でごそごそと雑音がする。
・右頬のこわばり感。
・痙攣は朝方は軽度で、午後から頻度が増す。
・痙攣は、ストレスや疲労で増悪傾向。
・リラックス時や入浴、飲酒により軽減する。

治療は最初の4回を週2回の頻度でおこない、それ以降は週1回のペースでおこなう。

第1診

寝違えてから随分時間が経過しているが、左頚部の左回旋可動域は20度程しかなく、それ以上回旋しようとすると、痛くて回らない。また左天柱部(首の付け根。後頭骨下縁~第2頸椎の高さのコリ。半棘筋、大・小後頭直筋など)と、左僧帽筋と肩甲挙筋に顕著な硬結と圧痛を認める。

上記の圧痛点にそれぞれ刺鍼する。
治療後、頚部の可動域に改善がみられ、左右差はほぼ無くなる。

第2診

頚の痛みはほぼ無くなったが、いまだ天柱部のコリ感は強く、特に仕事中などに痙攣が気になる。

第4診

コリ感はだいぶ改善された。痙攣も回数がかなり減少してきたが、午後から夕方にかけて出現する。

第8診

天柱部の硬結はほとんど消失する。口をすぼめても痙攣は出なくなった。これをもって治療を中止した。

本症例のように、まず先に頚部痛が起こり、次いで同側の顔面痙攣が発症した場合は、比較的短期間に緩解する傾向がある。
以前にも、頚部から手指にかけて痛みと痺れを訴えて、整形外科に受診したところ、頸椎ヘルニアの診断を受けて、ほどなくして同側の顔面痙攣を発症した患者を治療する機会があったが、2回の治療で痛みが取れ、それと同時に痙攣症状も緩解した症例を経験したことがある。

-症例3 50代男性-

約2年前から、右の下瞼がピクピクと痙攣するようになり、現在は右側の頬、口角まで痙攣するようになった。脳神経外科を受診、脳幹部で顔面神経が圧迫されていると言われる。

おもな症状は以下のとおり

・右の顔面全体が引っ張られる様な痙攣がおきると、耳の中でごそごそと雑音がする。
・右頬のこわばり感。
・痙攣は朝方は軽度で、午後から頻度が増す。
・痙攣は、ストレスや疲労で増悪傾向。
・リラックス時や入浴、飲酒により軽減する。
治療は最初の4回を週2回の頻度でおこない、それ以降は週1回のペースでおこなう。

第1診

伏臥位では天柱部(首の付け根。後頭骨下縁~第2頸椎の高さのコリ。半棘筋、大・小後頭直筋など)の硬結は顕著ではないものの、右側臥位で、頚部を前屈させ、後頚部を伸展させた状態だと、右天柱部の硬結が顕著になった。
まず伏臥位にて頚部、肩、肩背部の筋緊張部に刺鍼。次いで右側臥位にて頚部を前屈させ、天柱、胸鎖乳突筋、肩甲挙筋にそれぞれ低周波鍼通電をおこなう。

第4診

痙攣の頻度が軽減してきた。特に顔全体が引っ張られるような大きな痙攣は、ここ1週間ほど回数が減ってきている。耳の中の雑音はほとんど無くなる。

第6診

痙攣はピクピクと小刻みなものだけになった。午前中はほとんど気にならないが、午後から夕方にかけてまだ痙攣が出る。

第10診

身体が疲労しにくくなってきた。右天柱部の硬結は以前に比べるとかなり小さく柔らかくなってきているが、まだ左右差が認められる。まだ、口をすぼめると小さな痙攣が右の顔全体に認められるが、普段はそれほど気にならなくなってきた。

第14診

口すぼめで、右下瞼のみ痙攣が認められる。普段はほとんど痙攣は出ていないという。

第18診

口をすぼめても痙攣がでなくなったので、治療を終了した。


■無効例

-50代女性-

①約4年前から右瞼の痙攣が始まり、次第に右顔面全体に痙攣が出るようになる。
②リラックス時や入浴中、睡眠時にも痙攣がおこる。痙攣のため、夜に眼が醒めることもある。
③肩、頚のコリ感の自覚はあるが、天柱の特徴的な硬結はみられない。

治療を1週間に1度、計5回おこなったが、症状の軽減が全く見られなかった。顔面神経の過敏度が非常に高く、鍼治療の適応とならないと思われたので、治療を打ち切った。この他にも1例、同様の所見を持つ症例を経験したが、4回治療をおこない、効果が全く認められなかったので、治療を打ち切った。
②と③の所見が認められる場合は、鍼治療は不適応と考えられる。

-50代女性-

・約18年前から左瞼の痙攣が始まり、次第に左顔面全域に痙攣が起こるようになる。
・リラックス時や入浴中には、痙攣回数の減少がみられる。
・左の天柱に巨大な硬結を認める。

1週間に1度の頻度で治療をおこなう。治療直後は、痙攣回数に、若干の軽減が見られるが、1~2日で元の程度に戻ってしまう。10回ほど治療をおこなうが、効果の累積が見られないので、治療を打ち切った。
本症例のように、発症からの期間があまりにも長期に及ぶものは、顔面神経の過敏性が相当に高まっており、また、筋繊維の硬化が相当に進んでいるため、鍼治療の効果が現れにくいものと考えられる。


片側顔面痙攣

片側顔面痙攣とは、片側の顔面筋が、自分は意図していないのに痙攣し続けてしまう病気です。
発症の原因としては、頭蓋内で、脳幹から出る顔面神経が、血管により圧迫されることによって起こるとされています。

-症状-
初めの症状は、上瞼か下瞼の痙攣に始まり、進行すると同じ側の目の周りや口の周りの筋肉も痙攣するようになってしまいます。
口をすぼめたり、口角っを横に引くと痙攣が誘発されます。


いままで顔面痙攣患者を治療してきた経験から、特に有効と感じた治療点や手法、適不適の鑑別点、治療成績などを紹介していきます。また、症例報告として、有効例と無効例をいくつか紹介していきたいと思います。

以上が鑑別のポイントとなります。

-治療点-

患側の天柱硬結・・・低周波鍼通電か単刺雀啄
側頸部の筋緊張・・・胸鎖乳突筋、斜角筋、肩甲挙筋。置鍼か低周波鍼通電

*翳風穴や牽正穴からの顔面神経への刺鍼効果は、顔面痙攣に対しては認めれないため、使用していません。

なぜ頚部の治療で顔面痙攣が改善するのかは、今のところ不明である。しかし、これまで治療してきた、顔面痙攣の診断を受けた患者の中には、神経血管減圧術を受けたにもかかわらず再発した例(1例)や、MRIで神経の圧迫所見が認められない例(2例)、また頸椎ヘルニアの発症と同時に顔面痙攣を発症(画像所見異常なし)した例(1例)を経験してきた。いずれも瞼、頬、口角など、顔面の片側全てにわたり痙攣が認められる症例であったが、画像所見では異常が見られなかった。上記の症例は全て、頚部の治療により緩解に至った。
以上の症例は、頚部の筋群が原因で、顔面痙攣を発症したことが示唆される。
また、その他の患者については、いずれも画像所見で異常が認められ、そのうちの多くは、手術を勧められた患者である。

以上の事は、一部の顔面痙攣は、頸部の筋が主因となっていることが示唆される。また、神経血管減圧術をおこなうと、90%ほどは完治することから、当然、原因の多くは頭蓋内の病変部にあることは明確であるが、画像所見上、血管による圧迫が認められても、多くの顔面痙攣は、頚部の治療により改善が期待できることを物語っている。

頚部の筋、特に天柱部の硬結は、眼瞼痙攣など一部の神経系疾患の症状の消長と相関がみられることから、顔面神経の過敏性に対し、何らかの関与があるのではないかと思われる。

-H21年5月~H24年3月現在の治療成績-

(H21年以前の開業前の症例については、手元に資料が無いため統計不可)

寛解・・・12例

無効・・・3例(顔面痙攣症例 無効例参照)

脱落(効果は認められるものの、緩解まで至らず脱落してしまった例)・・・5例

治療中(H24年3月24日現在)・・・4例


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